バイオメトリックス

出典: くみこみックス

 指紋,声紋,網膜パターンなど,個人ごとに異なる身体的な要素をもとに本人特定などに利用する技術.コンピュータ利用時のセキュリティ対策に,ログイン時のユーザIDやパスワード認証に代わり利用される.IDカードや鍵,パスワードなど,従来の方法には常に盗難やメモによる漏えいなど,本人以外によるアクセスの可能性を排除できないという問題があった.バイオメトリクスでは,本人以外には譲渡や盗用が不可能な情報を利用するため,安全性が高いといわれている.バイオメトリクスを利用した本人確認は,かなり古くから利用されていたが,装置の価格が非常に高価であることや動作速度および精度に問題があるなど,広く普及するには課題が山積していた.しかし近年,特に,指紋から特定の情報を抽出し,照合する比較的安価で高精度な製品が登場し,注目を浴びるようになった.もちろん,現在でも認証に不可欠な特徴情報が使えない状況や誤動作に対する不信感は根強い.例えば,けがで指紋認証が使えない,かぜで声が出ないために声紋の認識が行えない,などの状況である.指紋情報を保存することへの心理的な抵抗もある.また,暗号化と組み合わせて使わなければ,ネットワークの盗聴に対して弱いという問題も指摘されている.さらに,装置そのものの問題ではないが,ログイン認証などOSやアプリケーションへの依存性が高いため,次々と仕様を変え,バージョンアップしていくソフトウェアへの対応といった課題も残る.

【出典】Interface編集部 編;組み込み技術用語集,Interface 2007年8月号 別冊付録,CQ出版社,2007年8月.

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