ボー・レート
出典: くみこみックス
キャリア信号を変調し,1秒当たりに伝送できるシンボル数.変調速度を表す単位.シンボル・レートと表記することもある.1秒当たりに伝送できるビット数(通信速度)を表すbpsと混同されやすいが,ボーレート(baud rate)とbpsが等しくなるのは,ベースバンド伝送(キャリア信号を使わない)やごく単純なトーン・バースト,AM/FM変調などの場合のみである.ちなみに,シンボルとは通信用語で伝送するべきデータの基本単位,つまり狭義にはビットのことを意味する.例えば,1200bpsのモデム(ITU-T V.22)では,4相PSK(Phase Shift Keying)による位相変調を行っている.この場合,キャリア信号の四つの位相で同時に四つの状態,つまり2ビットが表現できる.このビット数を符号化率と呼ぶ.よって,1200bps,V.22モデムにおける変調速度は600ボーである.ADSLやCATVなど,最近のブロードバンド回線で使われるモデムでは,限られた帯域による高速データ伝送を実現する必要があるため,さらに符号化率の高いQAM(Quadrature Amplitude Modulation)を採用している.位相変調と振幅変調を組み合わせたもので,16QAMの符号化率は4ビット,256QAMでは8ビットである.例えば,1MHzの帯域で256QAMによる理論値上限のデータ伝送速度は,1MHz×8ビット=8Mbpsとなる.このときの変調速度は1Mボーである.同じ帯域幅なら符号化率を高めれば伝送速度も上がるが,ノイズ耐性は下がる.
【出典】Interface編集部 編;組み込み技術用語集,Interface 2007年8月号 別冊付録,CQ出版社,2007年8月.