熱雑音

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熱雑音(ねつざつおん)

 電子や分子の熱によるランダムな運動によって発生する雑音で,すべての受動素子に存在する.熱雑音は電源を入れなくても,つまり電流が流れていなくても,温度による熱運動によって自然に常に発生している.すべての周波数にその成分をもつホワイト・ノイズであり,等価的に素子の内部に存在する抵抗分からも熱雑音は発生する.例えばトランジスタ内部のベース広がり抵抗やダイオードの等価直列抵抗からも熱雑音は発生する.抵抗によって発生する熱雑音は,抵抗値Rと絶対温度Tに比例して大きくなる性質をもつ.例えば,1kΩの抵抗器における熱雑音は,25℃において,周波数帯域の平方根当たり4nV/というスペクトラム密度をもつホワイト・ノイズである.熱雑音は,温度をもつ物質の基本的な物理現象なので,抵抗以外でも発生する.スピーカやマイクロホンには空気分子の熱運動による熱雑音が,アンテナには物質のもつ黒体輻射による熱雑音が存在する.

【出典】Interface編集部 編;組み込み技術用語集,Interface 2007年8月号 別冊付録,CQ出版社,2007年8月.

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